職業

職業
職業というのは、事業(Business)と専門職務(Profession)とに分けられます。専門職務は神職が始まりで、医師、教職などに分化していきますが、昔は専門職として手厚く遇されていたので、その業務に対して見返りを請求する必要はありませんでした。専門職務は本来、利潤を追求する目的で業務を行うのではありません。高度で専門的な業務の遂行に対して、感謝の念を込めた心づけが支払われる性質のものなのです。その際、対象が誰であろうと、支払われる対価の額がいくらであろうと、全力を傾けるべきという高い倫理性が要求されました。この本質は現在も同じだと言いたいのですが、資本主義経済下では職業の本来の意味が例外なく小さくなってしまいました。経済的に有用であるか否か、損失と利益はどうであるかのみがその評価基準になっています。つまり、どうすれば職業を通じて社会に奉仕できるのかという理念よりも、どうすれば儲かるのかという経済原理が優先されています。現在の職業において、経済効果は一つの選択肢ではなく、ほぼ独占的な選択の根拠となっています。現在の職業は、本来の在り方と現実的なお金の問題…この矛盾した二つの要素で構成されています。

医療法人 医聖会 理事長 近藤 徳雄