大阪駅前広場ビラ配布事件をご存知ですか?

大阪駅前広場ビラ配布事件をご存知ですか?

 私は、その刑事裁判の高裁判決の日、裁判所の門の前で手渡されたチラシをみて初めて知りました。
 2012年10月17日、40名ほどの人が、東日本大震災のがれき受け入れに反対し、大阪駅前の東広場で演説やビラまきなどの運動をおこなっていました。運動参加者が駅南方向へ移動するために駅コンコース内に立ち入ろうとした際、あらかじめ警備にあたっていた駅員(20名ほどいたようです)がこれを制止したにもかかわらず立ち入ったことを捉えて不退去罪、運動参加者が駅員に対し大声で抗議したことを捉えて威力業務妨害罪の容疑ありとされ、2ヶ月近く後になって3名が令状逮捕され、20日間の身体拘束を受けました。
 2名は処分保留で釈放されたものの、1名が起訴されました。一審判決は上記事実について無罪。検察は控訴。94名もの法学研究者が、本件は表現の自由への過度の侵害であり、控訴しないことを求める声明を出したにもかかわらず、です。高裁でも無罪判決が出ましたが、私がもっと驚いたのは、マスコミがほとんどこのニュースを取り上げていなかったことです。
 判決当日チラシを受け取った私は、判決が気になったので夕方ネットで検索しました。ところが、なかなかそれらしきニュースが見つかりません。逮捕者には、阪南大学准教授下地真樹氏が入っており、やっと同氏のブログと支援者のHPに行き当たりました。
 刑事裁判で無罪判決が出るのはかなり稀です。しかも、本件は、駅前広場等の公共性の高い場所での活動に対する取り締まりです。当然マスコミも注目してしかるべきもの。この駅前広場では普段演奏活動等もされ、人が集まること自体は珍しくなかったようですから、彼らの行動そのものよりも、主張する内容に着目された可能性が否定できません。
 あらかじめ20名の駅員で対応にあたっており、大きな衝突があったわけでもない、2ヵ月後の逮捕と法定期間いっぱいの勾留。無罪判決が出てもニュースで取り上げられない・・。
 知ろうとしなければ、知らない間にコトが起こってしまうかもしれません。

弁護士 松山 純子