The法円坂Vol.65 人生三分割の話  

人生三分割の話

 東京に就職していた私が父の急逝により会社を継いだのが二十六歳の時でした。社員は三十人余りで、会社はすでに経営破綻していたばかりか、労働組合があって毎回赤旗を上げる始末でした。
 それでも、同友会で学んだことを実践し、社員とともに歩んで、今日の発展を見ることができるようになりました。
 会社が何とか軌道に乗り出したころ、私は自分の人生について、三分割して考えることにしたのです。その準備もしました。
 第一は学習の時代です。オギャアと生まれて言葉を覚え、学校で学び、就職して社会勉強をしました。第二は会社経営の仕事です。それは、社員会社のため、お客様のため、仕入れ先様のため、ひいては世の中に役に立つ経営を目指しました。まさしく滅私奉公です。
 第三の人生は自分だけのための楽しい人生です。会社経営は息子に引き継ぎ、五十九歳で引退、その三年後からは福井での田舎暮らし、女房と二人きりで互いに趣味三昧、ゴルフや登山は共通していますが、後は自由。私は若いころから思い続けてきた児童文学の執筆と詩作に日々精進しています。いつか発表する機会があればと考えています。
 これも健康が一番、留意しながら最後まで人生を楽しみたいと思います。

旭コムテク株式会社 相談役 川口 凌太郞