The法円坂Vol.65 大連賓館(ヤマトホテル)あれこれ

大連賓館(ヤマトホテル)あれこれ

 日本法円坂律師事務所大連代表処(大連事務所)は、2000年8月に設立され、15年を迎えました。この事務所は、大連のヤマトホテル(大和旅館・現在は「大連賓館」)の中(3階)にあります。今回はこのヤマトホテルについてご紹介します。
 ヤマトホテルは、かつて南満州鉄道株式会社(満鉄)が経営していた高級ホテルブランドでした。1907年から1945年まで、満鉄線沿線の主要都市を中心にホテル網を展開していました。大連ヤマトホテル以外にも、旅順ヤマトホテル、新京ヤマトホテル(長春)、奉天ヤマトホテル(瀋陽)、などがありました。調べてみると、ハルビンなどの黒竜江省にもヤマトホテルがあったようです。
 中でも、大連ヤマトホテルは、満鉄本社の場所で、満鉄の設立から間もない1907年に開業しています(110年前ですね)。その後、1914年3月に大広場(今の中山広場)前に新館が竣工され、同年8月1日に移転開業されました。エントランスホールや宴会場などは当初のクラシカルな装飾が維持されており、現在でもホテルとして利用されているほか、迎賓館としての機能も残っています。全国重点文物保護単位(日本でいう重要文化財のようなもの)に指定されています。
 ところで、このように日本とのゆかりのあるヤマトホテルですが、2017年9月1日、突然、当ホテルは重点文物保護単位であるため、全面補修に入る、全てのテナントは9月末までに営業停止をして退去せよ、という通知が来るという騒ぎがありました。ところが、テナントが2階の喫茶店に集まって、ホテルの総経理(社長)を呼んで抗議をしたところ、後日、ホテル側から、上級機関に報告して同意を得て、営業停止を暫く見合わせる、2017年10月1日以降も営業継続する、ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした、という通知が届きました。このようなドタバタも、中国らしいですね。
  ただし、ホテルによると今度の契約更新はしないとのことですので、別の事務所で営業を開始する予定です。

弁護士 中島 宏治
                                     以 上