The法円坂vol.66 M&Aひとこと 

「M&Aひとこと」 

 松山純子

 ここ半年程、M&Aのご相談が増えているように思います。M&Aといえば、大企業の専売特許というイメージがありましたが、最近は中小企業にも無関係ではないようです。

事業承継で承継先が上手く見つからずに売却するケース、中小企業だけれども事業の一部を切り離して第三者へ売却するなどの事例について相談を受けます。

一般の中小企業のM&Aは届出義務等もないですし、実数を把握するのは困難ですが、中小企業庁のある統計によると、中小企業のM&Aはここ5年で3倍になっているとのデータもあります。

M&Aと一口に言っても、法的には、事業譲渡、吸収合併、会社分割、株式譲渡等、様々な枠組みがあります。事業承継にあたり、何を重視するのか、会社のどの部分を残したいのか、看板か、技術か、取引先か、従業員か等々、守りたいものによって法的な手法が変わります。

 大枠のイメージを掴んでいただくために、あえてざっくりした例えにすると、会社を果物が入ったパックに例えるとして、中の果物を(一部であろうと全部であろうと)ピックアップして一つずつ他のパックに移すのが事業譲渡、パックごと他のパックの中に入れてしまうのが吸収合併、バックごと分けて複数のパックにするのが会社分割、パックの持ち主を変えるのが株式譲渡、というイメージでしょうか。

どの枠組みを用いるかで、取引関係・雇用・賃貸借等に関する契約をあらたに結ぶ必要があるか、許認可を受け直す必要があるか、それとも当然にこれまでの契約上の地位が引き継がれるか等、法的な扱いが異なります。

 会社にはそれぞれ社風や文化、暗黙のルールがあります。第三者へ譲渡する場合は、どの法的枠組みを用いるかも大切ですが、それ以上に、何のために会社を譲渡・譲受するのか、何を守るのかを今一度整理することがもっとも大切だと感じています。