The法円坂vol.67 21世紀はアジアの世紀か

21世紀はアジアの世紀か

弁護士 中島宏治

 

 2019年10月30日に、法遊会特別企画・事務所開設40周年記念イベントを開催しました。記念講演として、進藤榮一さん(筑波大学名誉教授)にお話いただきました。

 進藤さんは、アメリカ研究を専門とする国際政治学者ですが、近時「アメリカ帝国の終焉」を出版するなど、アメリカからアジアに政治・経済の中心が移りつつあることを意識しておられます。

 今回の記念講演でも、前半はアメリカの衰退の様子を取材を通してレポートされたあと、中国をはじめとするアジアの力強い発展についてお話いただきました。進藤さんは、「国際アジア共同体学会」の会長「一帯一路日本研究センター」の代表も務めておられます。

 現在の中国のキーワードの1つに「一帯一路」という言葉があります。これは、習近平国家主席の肝入りで進められる巨大プロジェクトです。「一帯一路」とは、「シルクロード経済ベルト」(一帯)と「21世紀の海上シルクロード」(一路)の略称です。政策上の意思疎通、インフラの相互連絡、貿易の円滑化、資金の調達、民心の相互疎通の実現を主な内容とし、沿線国とその国の人々に実益をもたらすということを主な目的としています。アジアインフラ投資銀行(AIIB)もこの一帯一路構想の金融支援という位置づけとなっています。

 進藤さんの講演の中で、この一帯一路構想には、空間オーナス(発展阻害要因)を空間ボーナス(発展促進要因)への転換があるとの指摘が印象的でした。これは広域アジアの富と繁栄に大きく寄与する、と。

 それから、日本が進むべき道として、この一帯一路構想に積極的にかかわることにより、日本経済の再活性化をもたらすとの指摘もありました。いずれにせよ、今のアメリカ一辺倒の政治から中国との連携を重視すべきだとの指摘は、今後の日本の在り方を示唆するものといえます。