The法円坂vol.71 AI共存共栄の未来

AI共存共栄の未来

 弁護士 山本美愛

 昨年はChatGPTを開発したOpenAI社において、取締役の解任騒動がありました。同社取締役会は、設立者であるサム・アルトマンらを解任する決定をしたのですが、従業員の9割超が、アルトマンらを復帰させない場合にはMicrosoft社に移籍すると取締役会に宣戦布告したため、取締役会は解任決定を覆し、事態は収拾したという顛末です。

 皆さんChatGPTを使っておられますか?弁護士業界AGIの「G」はGeneralのGで、AGIは汎用性のある人工知能という意味です。

 AIは特定の問題に対して無数の方法を考え出し、その中から最良の方法を選択できるというもので、将棋の藤井聡太八冠がAI相手に練習していたというのは皆さんよくご存知だと思います。一方で、AGIAIと同じ機能を持っているのですが、将棋で言えば、リスクを冒して賭けに出たり、わざと間違えて面白がったりして誰も考えたことのない新しい手を考え出したりするようです。目的を達成するために、過去から現在に至る全人類の経験値を検索し、考え、学んで、創造し、成長し続ける、また一気に時代が進みそうな気配を感じます。

 先述の解任劇の背景には、人工知能が人類への脅威になることを危惧する取締役らと設立者らの間で対立があったとも言われています。

 人工知能に関して、人類はパンドラの箱を開けたとも言われますし、人を超えた存在を使いこなせるかというという素朴な疑問はあるのですが、一方で、人工知能によって克服困難と思われていた社会課題が解決され、今までの延長線では考えられないような未知の世界が見られる可能性があると思うと非常に楽しみです。アルトマンは、来年にはChatGPTは古臭くなっている等と発言されており、技術開発のスピードに驚愕しますが、その恩恵を受けつつ、面白がって付いていきたいと思います。