宝石業者から見た四十五年

宝石業者から見た四十五年

私が小さな会社を始めました一九七一年頃は、金とドルとの不換いわゆるニクソンショックと第一次オイルショックでインフレが進みスーパーの棚から商品がなくなるほどの買い漁りが激しい時代でした。それから十年、八十年頃が日本経済も高度成長の波に乗り宝石業界も活気に溢れ、非常に発展をしていました。その次には八十五年のプラザ合意の後の九十年に向けてのバブルの時代、株式市場が参萬八千九百壱拾五円を付けて世の中が浮かれていたころです。七十年代の十年と、八十年代の後半五年間、日本のGDPが大変伸びていた頃は、日本に大変質の高い宝石貴金属類が大量に輸入され、町を行き交う人達の装いも何となく綺羅びやかなものでした。九十年には市場規模は十倍以上に膨らみ三兆円とも、四兆円とも言われるように成長した時もありましたが、バブルが弾けデフレが二十六年も経った今は、町に「金・プラチナ買います」の看板の方が、宝石店より多く目に付きます。輸入よりも逆に輸出が進み、宝石や貴金属も水や煙のように法則通りに流れています。一日も早く日本経済に活気が戻り希望に輝く時代が待たれます。

日本宝石協同組合 理事長 片岡 清人