The法円坂vol.71 地球沸騰化と外苑再開発

地球沸騰化と外苑再開発

 弁護士 稲田堅太郎

 昨年の夏の暑さは度を越えていたのではなかったでしょうか

 報道によると、昨年の東京都の7~9月の真夏日(30℃以上)が90日(観測史上最多)、猛暑日(35℃以上)が22日、熱帯夜(夕方から翌日朝までの最低気温が25℃以上になる夜のこと)が57日であったとのことで、大阪でも似たり寄ったりでした。

 この状況は日本だけでなく地球全体においても各地で山火事や大洪水が発生しました。

 アントニオ・グラーレス国連事務総長は「地球温暖化の時代は終わり地球沸騰化の時代が到来している」との警告を発しています。

 この様な地球環境悪化の問題は世界全体においても危機的状況にあるにもかかわらず、我国においては全く危機感を感じていない状況が続いているのではないでしょうか?

 明治神宮外苑の再開発問題は事業主体の三井不動産、明治神宮、JSC、伊藤忠らが総事業費約3490億円をかけて約3000本の中高木を伐採し神宮球場と秩父宮ラグビー場を建て替えて再配置し高層ビル3棟を整備するというボロもうけをするための計画である。外苑は明治天皇と昭憲皇太后の遺徳を永く後世に伝えるために当時の全国民の献金と青年団による勤労奉仕、全国各地から献納された樹木によって大正15年に創られた都民にとって稀有な緑地であり環境保護の上での社会的共通資本というべきものである。

 この事業に対してイコモス(国連教育科学文化機関)が、再開発計画の撤回を求める「ヘリテージ・アラート」(遺産危機に対する警告)を発したばかりか、国内においても作曲家の坂本龍一は亡くなる直前に小池百合子都知事に対して「子供たちに美しい日本の姿を残せない現実には忸怩たる思いがあります。目の前の経済的利益のために先人が百年かけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません。これらの樹々はどんな人にも恩恵をもたらしますが、開発によって恩恵を得るのは一握りの富裕層にしかすぎません。この樹々は一度失ったら二度と取り戻すことができない自然です」との手紙を送っています。その他作家の村上春樹、浅田次郎、女優の秋吉久美子、歌手の加藤登紀子らが反対の表明をしており、サザンオールスターズの桑田佳祐は「Relay~杜の詩」をつくってまで反対しています。さらに、「月刊日本」の主幹南丘喜八郎氏は三井不動産の植田俊社長に対し、公開書簡「神宮外苑再開発の即時中止を求める」を送付しています。

 そうであるにもかかわらず小池百合子都知事はこれを無視し事業推進を庇護しようとしている有様である。

 他方、大阪に眼を向けると大阪のシンボルとして大阪府民から親しまれてきたイチョウ並木を伐採して停車スペースを作ろうとしている維新の行動が目につきますが、これを環境に対する虐待といわずに何というか?との府民の反対の声があがっています。他方、関西万博、その後のカジノ建設の用地である夢洲は元々廃棄物埋立地であり地盤沈下が進行するような土地に大金を投じて、万博やカジノを実行しようとしている無謀な計画も出来れば中止し、むしろ大規模な緑地として生かせれば環境保護の点からいっても大いに役立つのではないでしょうか?