The法円坂vol.70 大連セミナーをオンラインで開催 

大連セミナーをオンラインで開催 日中企業が注目する「個人情報」の取扱い

弁護士 中島宏治

 毎年4月に大連にて、京都銀行大連事務所と共催で、日系企業向けセミナーを開催していたのですが、2020年・2021年・2022年は新型コロナウイルスのため、大連に行くことができませんでした。そこで、2020年・2021年に引き続き、ウェビナーを使って、2022年5月25日、オンラインにて日中の弁護士が同時にセミナーを開催しました。

 内容は以下のとおりです。

「日中両国の弁護士が語る、中国ビジネスに取り組む企業のための個人情報保護法のポイント」

・中国において個人情報保護法が制定された経緯

・個人情報保護法の適用を受ける主体(城外適用など)

・個人情報の取扱いについて

・個人情報取扱者の主たる義務

・越境移転規制について

・罰則についての日中比較

・企業の対応について

 中国においては、個人情報が守られないということが続きました。その中で、2021年8月に中国でも個人情報保護法が成立し、同年11月から施行されました。

 中国の国内企業だけではなく、中国ビジネスを行う日本企業にも適用される可能性がありますし、中国国内で収集した個人情報を国外に移転する場合の規制があることなど、注目を集めていました。

 日本においても、2020年、2021年と個人情報保護法の改正が行われましたので、日本と中国の法制度の違いも意識しながら、日中両国の弁護士によるパネルディスカッションを行いました。中国では個人情報保護法だけでなく、データセキュリティ法、サイバーセキュリティ法も整備され、様々な情報管理が行われています。中国ビジネスでは、常にこのような法律が権力による監視につながる側面もあり、思わぬ落とし穴に陥らないよう留意する必要があります。そのような比較ができたのではないかと思います。

 オンラインセミナーは3回目の取り組みだったのですが、日本からも中国からも参加があり、概ね好評だったように思います。移動を制限されているからこそ、このようなオンラインセミナーの需要が高まり、新たな可能性を感じています。

 ただし、コロナ禍により、ここ3年間は大連に行けておりませんので、2023年は是非大連でのセミナー開催をしたいところです。その場合には、オンラインとの併用も検討したいと思います。